最終更新日 2024年8月28日
ご相談
調剤薬局を経営するX社は、事務職のY等(いずれも30代・女性)がX社に反抗し、他の従業員をいじめるなど、傍若無人な振る舞いを示したことから、Y等の対応にほとほと困り、当事務所を訪れました。
当事務所の対応
当事務所は、Y等の退職勧奨に向け、X社に助言して、Y等の指導を強化してもらったところ、Y等は、X社に退職届を提出しましたが、わずかの賃金未払を取沙汰して労働基準監督署(労基署)に通報したため、X社は、労基署から是正勧告を受けることとなりました。
当事務所は、X社の顧問社会保険労務士(社労士)と協議した結果、労基署への回答については、社労士さんに対応していただき、Y等との示談交渉については、当事務所が行うこととなりました。
当事務所は、Y等の実労働時間に関する資料が乏しいこと、Y等がすでに他社に就職していることから、Y等がこのうえX社と本気で争うつもりはないものと判断し、Y等に対し、未払賃金の額に若干色を付けた示談金を提示し、示談を持ち掛けました。
当事務所の対応の結果
その結果、Y等は、あっさり示談に応じ、本件は無事解決しました。
解決のポイント
一般的に、心優しい社長が問題社員の餌食となるケースは多いようです。
本件でも、X社の社長は、とてもまじめで優しい人柄でしたが、そうした人柄が、Y等が増長する温床となってしまったようでした。
問題社員については、いきなり解雇せずに、強力に指導しつつ、改善が見られなければ、退職を勧奨し、それでもなお退職しない場合、しっかり手続きを踏んで解雇するというのが鉄則です。
本件では、当事務所の助言に従い、X社がY等の指導を強化したことにより、その段階でY等を自ら退職させることができました。
ただ、未払賃金がある場合、労基署に駆け込まれることがあります。
当事務所は、こうした場合、その会社に顧問社労士さんがいる場合は、顧問社労士さんと協力して、労基署に対応しております。
本件でも、X社に顧問社労士さんがいたことから、顧問社労士さんと労基署への対応を十分協議することができました。
ただ、労基署対応の点はともかく、未払賃金は、法律上支払わざるをえません。
ただ、証拠状況や相手方の状況を踏まえ、交渉により低額の支払にとどめることは可能です。
本件でも、未払賃金の資料が乏しいことや、Y等の就職状況を踏まえ、低額の支払にとどめることができました。