労災保険をかけていれば安心?

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  • 労災は避けきれない
  • 万一労災が生じても、労災保険でカバーできるから安心

そのようにお考えの企業、管理職の方がいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、以下のとおり、損害賠償責任は、労災保険で全然カバーしきれません。

休業損害が一部カバーされない

労災による労働者の休業について、労災保険は事故後の休業 3 日間については、保険金を支給していません。

また、4日目以降についても、平均賃金の 8 割(休業補償給付 6 割+特別支給金 2 割)という形で支給されますので、全額補償ではありません。

慰謝料が一切カバーされない

慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)についても、労災保険では保険給付を支給していません。

ちなみに、交通事故による死亡慰謝料の裁判基準は、一家の支柱の場合、2800万円と高額です。

逸失利益がほとんどカバーされない

後遺症が残る場合や死亡の場合、労働者は企業に対し将来働けなくなった収入など(「逸失利益」といいます。)を賠償請求できます。

ただ、もちろん、労災給付があれば、これを損害賠償上控除することができます。

ところが、死亡や障害等級7級以上の重い後遺障害の場合、労災給付は、年金で支給されるのですが、将来給付分の年金給付については、損害賠償から控除されません(最高裁昭和52年10月25日判決)。

しかも、この場合、会社が労働者に損害を賠償した後で、国に対して未支給の労災保険金を会社に支払うよう請求しても、認められません(最高裁平成元年4月27日判決)。

つまり、死亡や重い障害の場合、逸失利益については、労災保険でほとんどカバーできないということになります。

結局、ケースにもよりますが、例えば、1億円の賠償責任の場合、労災保険でカバーできるのは1500万円程度ともいわれており、残額は企業の負担となります。

労災保険でカバーしきれない分は、民間の賠償責任保険でカバーできる?

このように、企業の労働者に対する損害賠償責任は、労災保険でカバーしきれないので、民間の各保険会社から使用者賠償責任保険が売り出されています。

しかし、そうした保険の保険料は、補償内容にもよりますが、年間数十万円程度と高額です。

かりに金銭的な面をクリアできたとしても、労災保険料の上昇や刑事責任、ブラック企業とのレッテルによる信用失墜といった労災のデメリットは、ぬぐいきれません。

(関連記事)労災認定のデメリット

そもそも労災を起こさない職場作りを

このように、労災保険は万能ではなく、使用者賠償責任保険の活用も限度があります。

結局、大切なのは、そもそも労災を起こさない職場づくりです。

そこで、労務に強い弁護士を入れ、労災を未然に防ぐ体制を作ると同時に、将来万一労災が発生した場合にしっかり備えるのが重要です。

 

労災を機に、労働トラブル予防を

労災の発生は氷山の一角で、労務管理全般に問題があるかもしれません。

労災の発生を機に、労務に強い顧問弁護士を付け、労働トラブル全般を予防することをお勧めします。

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